近年、企業文化を明文化し、ホームページなどで発表する企業が増えています。
企業文化とは、従業員の間で共有されている自社の価値観や理念のことで、企業を運営していくうえでの指針にもなるものです。
企業文化は長年の会社の歴史と業務形態などによって培われていくものだと思われがちですが、歴史の浅い企業であっても、企業文化を構築することは可能です。
自社の企業文化を根付かせるために必要な可視化と公表について、説明します。
Culture Codeとして公表される企業文化
企業文化は、自社の企業活動から生まれるもので、経営者の経営哲学を反映させたものでもあります。
本来、目には見えないものですが、誰が見てもわかるように明文化することで、従業員や取引先、そして顧客に周知を図ることができます。
いわば自社の“特徴”である企業文化は、従業員には行動規範の一つとなり、取引先にとっては自社をよく知ってもらうためのヒントになり、ユーザーにとっては自社の商品やサービスを選ぶ際の判断材料になります。
企業文化は『Corporate Culture(コーポレートカルチャー)』や『Company Culture(カンパニーカルチャー)』と英訳することができます。
欧米ではより具体的に、『Culture Code(カルチャーコード)』として明文化し、公表する企業が増えてきています。
アメリカの定額制動画配信サービスを手がけるNetflixは、2009年に自社の企業文化を採用ページに掲載。
その簡潔で分かりやすい理念に、FacebookのCOOのシェリル・サンドバーグは「シリコンバレーから生まれた最高の文書」だと絶賛しました。
現在、Netflixは、企業として大切にしているポイントを以下のようにあげています。
1.社員一人ひとりの自立した意思決定を促し、尊重する
2.情報は、広く、オープンかつ積極的に共有する
3.とことん率直に意見を言い合う
4.優れた人材でチームを構成し続ける
5.ルールをつくらない
Netflixの企業文化は公式サイトに公開されており、日本語でも確認することができます。
上記で述べた以外にもさまざまなことが明文化されているので、参考にされるとよいかもしれません。
明文化して公表するまでのステップ
創業時から明確な経営理念や行動規範を設定している企業であれば、すでに企業文化は明文化しているでしょう。
一方で、企業文化はあるものの一貫性がなかったり、自社のポリシーが言葉や文章として残されていなかったりする企業も存在します。
それらの企業は、企業文化をしっかりと文章化させるところから始めなければいけません。
まず、経営者側がイメージしている自社の企業文化と、従業員が感じている企業文化が同じものなのか、確認する必要があります。
双方の共通認識があって、初めて企業文化は成り立ちます。
たとえば、面談によるヒアリングや、全社員を対象にしたアンケートなどで、『あなたが考える自社の特徴と武器』『自社の最も大切にしていると思う価値観』『評価されるべき仕事』『正しいと思う言動』などについての回答を拾いあげていきましょう。
それぞれの考えを明確にしていくことによって、経営者側と従業員側の意識のすり合わせを行っていきます。
ミーティングや全体会議などの場で、経営者の目指したい方向性や将来のビジョンなどを盛り込みつつ、従業員の意見も参考にすることで、経営サイドが思いつかなかった自社の未来や、気づかなかった新たな可能性が見えてくることもあるかもしれません。
そして、企業文化のベースとなる指針がまとまったら、文章としてまとめていきます。
補足の説明はどれだけ長くなっても構いませんが、公表する企業文化の大事なポイントは、端的で分かりやすくなければいけません。
基本的には、箇条書きで1~5つくらいまでに絞りましょう。
出来上がった文章を繰り返し校正し、正しく文章化できたら、Culture Codeとして自社サイトなどで公表します。
前述の通り、公表することで、従業員や取引先、ユーザーに広く周知を図ります。
企業文化は、自社が大切にする文化や行動規範を、社内で共通認識として持つためのものです。
しかし、インターネットなどを用いて企業情報を調べやすくなっている今の時代、いかに明文化し、対外的に周知していくかということも、とても大切です。
企業文化を明確にしていない企業は、他社のCulture Codeなども参考にしながら文章にまとめ、公表に向けて動いてみるのはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2021年6月現在の法令・情報等に基づいています。