こんにちは、税理士法人タクト、監査課の栗田良祐です。
2023年11月、気温の寒暖差が激しい月でしたね。先日のニュースでは寒暖差による汗疹(あせも)が増加していると言っていました。実は私もその一人で痒いけどかいてはいけないもどかしさ、とても辛いですね。さて今月の記事は、私、栗田が考える事業計画における売上高の決め方についてスポットをあてて書かせていただきます。結論としては事業計画の売上高は最後に決まる数値です。ではそれはなぜか?
個人事業主の方や法人経営者の方は、事業計画書の作成を行ったことがあると思いますが、事業計画の中で外せない項目の1つに年間の業績予測があります。業績予測は1年計画や3年、5年、長ければ10年という長期計画を立てる方もいます。業績予測は損益計算書の売上高から始まり、経常利益まで記載するように流れができています。そのため、この予測を売上高から律儀に書き始めている方がほとんどです。するとどうでしょう?初年度の売上高から1年、2年と進むにつれて売上高が1割増、または年数経過に応じて、均等に○○万円ずつ増加という見込みを立てがちです。これでは根拠もなければ、売上拡大の戦略を検討しようができません。
では、業績予測はどのように計画していけばよいか、それは損益計算書を逆さまにして考えることです。つまりは当期純利益もしくは経常利益から考えるということです。これは損益分岐点売上高を考えるのと同じ発想です。損益分岐点売上高とは、利益がプラスマイナスゼロになるための売上高であり、計算式は以下の通りです。損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
計算式の通り、最初に固定費(売上の増減に関わらず発生する費用)を決め、固定費に対し限界利益率(1-変動費率)を除することで赤字にならない最低限の売上高を算出することができます。あくまで損益分岐点売上高は利益がプラスマイナスゼロということですが、当然、企業として利益を出す場合は目標利益金額を決めて売上高を算出します。計算式は以下のようになります。
売上高=(目標利益+固定費)÷限界利益率
さらに踏み込んだ考え方としては資金繰りベースにおける損益分岐点売上高を算出し、目標利益を決めることです。この際、固定費には減価償却費や引当金繰入などの支出を伴わない費用は除外して計算することがポイントです。資金繰りにおける注意点は資産に計上されるもの(保険の資産計上額や積立金等)や負債が減少されるもの(借入金の元本返済額等)も計算に含めるという点です。ただし業種によって考え方が難しい業種(建設業など、大規模工事代金の中間金がある業種)や繰越欠損金がある会社は計算式が複雑化するため、税理士等の専門家に試算を依頼することがオススメです。
税理士法人タクトでは、監査課職員が日々、研鑽を行い、会社の数字について考えています。利益を確保したい方、売上を拡大したい方、まずは一歩踏み出すためにも、当事務所へ相談してください。