会社の成長戦略を描くうえで、マーケティングや営業など、あらゆる場面で目標設定が重要な役割を果たします。
売上や利益率を上げるためには、全社的な目標を設定し、そこから各部門、個人ごとに目標を細分化していくことが一般的です。
この目標設定の具体的な計測指標となるのが、『KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)』と『KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標』です。
そこで、KGI・KPIの概要と活用方法について定義はもちろん、設定方法を説明します。
KGIとKPIが持つ意味合いと役割
KGIは、プロジェクトやビジネス上の最終的な目標を定量的な数値で示したもので、「顧客単価を1万円上げたい」「販売数を500件増やしたい」などの大きな目標です。
クリアしたかどうかが一目でわかる、具体的な数値目標なので、「社内の雰囲気をよくする」などのあいまいな目標ではなく、売り上げ、成約数、利益率など具体的な数字を策定します。
このKGI(大目標)に対して、KPIは「それを叶えるために、達成するべき行動」です。
KPIはKGIに至るための中間目標と言い換えることができ、KGIを達成するための具体的な目標として、複数設定していきます。
たとえば、販売数を500件増やしたいというA社の例で考えてみましょう。
A社では、1回の展示会出展で100人の見込み顧客が獲得でき、Web広告の出稿で50人の見込み顧客が獲得できる、といったデータを持っているとします。
このデータをもとに、A社は最終的な目標(KGI)の販売500件増を達成するために、展示会に何回出展し、何人と名刺交換するか、またWeb広告をどのくらい実施して、何クリック稼がなければならないかを試算し、おおよそ必要な取り組み数を定めました。
この、具体的な取り組み施策がKPIです。
このKPIを達成できたかどうかが、KGIを達成できるかどうかを具体的に示す指標となるわけです。
KPIはさらにツリー状に細分化していくこともできます。
たとえば、「店舗の売上〇〇円UP」というKGIを達成するためには、新規顧客の獲得数やリピーターの再訪率なども上げていく必要があります。
加えて、顧客単価の向上についても、商品の価格をどのくらい引き上げるのか、購入機会をどのくらい増やすのかなど、それぞれ次の階層のKPIを設定しなければいけません。
このように最終目標となるKGIを頂点に、これらの各タスクの達成目標を明確にしたKPIを階層ごとに示した図のことを『KPIツリー』と呼びます。
このツリーの下の階層に位置するKPIを達成するための施策を実施および検証していくことで、最終的なKGIを達成することができるのです。
SMARTの法則を使って適正な目標設定を行う
KGIとKPIを設定する際には、実現可能な数字を設定するよう注意しましょう。
あまりにも現実からかけ離れたものでは、進捗や達成度の測定も意味をなさず、途中で目標や計画の見直しが必要になってしまいます。
また、目標までの到達を目指すうえで、ある程度の軌道修正が必要になることもありますが、大きな軌道修正は従業員のモチベーションを下げてしまいます。
したがって、KGIとKPIは、現実に則した数値にすることが重要です。
特に、KPIを設定する際には、「何クリックで何人の新規見込み顧客が獲得できるか」などの数値目標の裏付けとなるデータが必要になります。
たとえば、KGIを売上高前年比20%アップに設定したとして、どのような施策をとれば、顧客数の増加や顧客単価の向上につながるかというデータ的な根拠がなければ、KPIを設定することはできません。
これまでの過去の統計や顧客リサーチの結果などのデータを基に、設定していきましょう。
実際に、KGIとKPIを設定する際には、『SMARTの法則』を意識することで、実現可能な目標を設定することができます。
SMARTとは、以下の5つの頭文字からなる目標設定のための要素のことです。
●Specific(具体性)
どの社員が聞いても同じ認識を持てる具体性があるかどうか。
●Measurable(計測可能)
達成度について、計測が可能な目標であるかどうか。
●Achievable(達成可能)
社内に蓄積されたノウハウや社員のスキルなどを踏まえ、達成できる基準にしているかどうか。
●Relevant(関連性)
目標の達成が会社や社員の利益に関連しているかどうか。
●Time-bound(明確な期限)
目標の達成が先延ばしにならないように、明確な期限を定めているかどうか。
このSMARTの法則を基に、各階層の目標を達成するための施策についても具体性をもって考えていくことが大切です。
自社の状況にあわせたKGIとKPIを設定し、会社全体のモチベーションアップにつなげてみてはいかがでしょうか。
※本記事の記載内容は、2022年7月現在の法令・情報等に基づいています。