Javascriptが無効になっているため、正常に表示できない場合があります。

これからの社会を変革していく『デジタルトランスフォーメーション』

News新着情報

2021/01/29

これからの社会を変革していく『デジタルトランスフォーメーション』

 

近年、『デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)』という言葉が注目を集めています。
DXと略されるこの言葉は、もともとは『IT技術を使って人々の生活をよくしていく』という社会的な概念で、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。
では、DXは、従来の『IT技術を導入すること』とは何が違うのでしょうか。
そして、自社にどのように取り入れていけばよいのでしょうか。
今回はDXについて、その定義や具体的な事例などについて解説します。

文脈や立場で変化するDXの定義

2004年に、スウェーデンのストルターマン教授が提唱したDXという概念は、近年、さまざまな意味を持つ言葉になってきています。

スウェーデンのウメオ大学で、情報技術と社会の関係性を研究していたストルターマン教授は、DXを『IT・デジタル技術と現実が次第に融合していき、人々の生活がよくなるように社会・経済が発展していくこと』と定義しました。

その後、2010年代に入り、DXはアメリカのビジネスパーソンたちの間で、『企業におけるビジネス戦略としてのIT技術を使った組織やビジネスの革新』という意味合いで使われるようになりました。
一方、日本の経済産業省は上記のような意味あいのほか、『IT技術を使って、これまでの旧型のシステムから脱却する』という意味合いでも使用しています。

このようにDXは立場や文脈によってさまざまな解釈がある言葉です。
ストルターマン教授が、社会全体を広く俯瞰で捉えた、人類全体のテーマとしてDXを定義しているのに対し、ビジネスパーソンの間では、デジタル技術を活用した、組織やビジネスの革新としての意味合いで使われています。
DXは、広義では社会的なテーマとして、狭義ではビジネス的な視点で語られているのです。

ここでは、デジタル技術による組織やビジネスの革新を行う、狭義のDXについて説明していきます。


DXを成功させた企業の具体例

これまでのいわゆる『IT化』が、ペーパーレスなどの業務の効率化を目的としていたのに対し、DXは、そこから一歩進んで、デジタル技術によってビジネスの革新を進めていくという意味合いを持ちます。

業界のDXをけん引した具体例としてよく知られているのが、タクシー最大手の日本交通の例です。
日本交通は、2011年に日本初のタクシー配車アプリをリリースし、全国のタクシー会社に提供。
さらに、決済機とデジタルサイネージを兼ね備える後部座席設置型タブレットにより、キャッシュレス決済の普及にも寄与しています。
これまで流しのタクシーをつかまえて行き先を告げ、現金払いが常識だったタクシー業界の顧客利便性をアップさせました。

また、AIを活用した配車システムの導入によって、さらなる革新も遂げています。
過去の人口動態データ、気象データ、公共交通機関の運行状況のデータ、大規模施設でのイベントのデータ、タクシーの運行実績データなどをAIが分析し、乗車のニーズが多い場所をドライバーに知らせるという需要予測システムを日本交通の子会社であるJapanTaxi(現・Mobility Technologies)とトヨタ自動車とで共同開発したのです。
このシステムによって全体的な乗車率を底上げすることに成功しました。

タクシー全車の位置を毎秒把握するシステムも開発し、配車時間をこれまでの10分から5分に短縮することも可能になりました。
このシステムによって、客と車をいち早く引き合わせ、ドライバーは、より効率的に稼ぐことができるようになったのです。

また、スウェーデンの企業スポティファイ・テクノロジーによって開発された、月額で音楽が聴き放題になる『Spotify』も、DXの具体例としてよく語られます。

もともと音楽のダウンロード販売など、業界のデジタル化は進んでいましたが、定額で5,000万曲以上の楽曲が自由に聴けるという『Spotify』のサービスは、音楽の聴き方そのものに大きな変化をもたらしました。
今では、全世界で約3億2,000万人のユーザーを抱え、有料会員数も約1億4,400万人と、世界最大手のサービスに成長しました(2020年9月末時点)。

このように、DXによる革新は、さまざまな方面で画期的なメリットをもたらします。
ただし、そのためには先行的な投資とデジタル技術の導入だけでなく、それを裏付けるものとして経営戦略や組織づくりまで変えていく必要があるかもしれません。

また、革新によりさらなる成長が期待できる企業がある一方で、古い技術に固執してしまう企業のなかには、やがてその技術分野が廃れて企業社会から取り残され、事業の継続が難しくなってしまうケースも出てくるでしょう。
そのような企業にとっては、DX推進に乗り遅れることは大きな損失につながる恐れがあり、裏を返すと、DXを受け入れて自ら変わることこそが生存戦略となるわけです。

経済産業省は、従来のシステムでは企業の成長に限界があると指摘しており、DXによる早急なシステムや組織の変革を推進しています。
どのようにDXを受け入れ、推進していくか、議論を重ね、自社にできることから少しずつでも変えていくことが大切だといえるでしょう。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。

Copyright © ACCS Consulting Group All Rights Reserved.