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当事者が患者を支える『ピアサポート』について

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2021/09/28

当事者が患者を支える『ピアサポート』について

がんの体験者や難病の当事者などが、同じ境遇になった患者の支援活動を行うことを『ピアサポート』といい、そうした支援活動をしている人を『ピアサポーター』と呼びます。
ピア(Peer)とは、仲間や対等という意味を持つ言葉で、医療従事者とは異なる立場から、患者の目線に立ってサポートを行えるのが特徴です。
同じ経験を持つ人に悩みを話したり、相談したりすることは、患者の精神面に安定をもたらします。
また、経営においては、サポートの手厚さを対外的に表現する手段にもなり得ます。
今回は、病院におけるピアサポートについて、紹介します。

患者が治療に前向きに取り組む原動力に

もともとピアサポートという考えは、1935年に、アメリカのアルコール依存症問題を解決するための自助グループ『アルコホーリクス・アノニマス』で生まれました。
近年では、そうした依存症のサポートグループや相互支援グループのほかにも、介護福祉分野や慢性疾患の患者同士、学校教育の場での助け合いなど、さまざまな分野でピアサポートの方法論が取り入れられています。
共通するのは、現在、苦しんでいる患者と同じ立場にいる人や、かつて同じ立場だった人が、仲間としてサポートするということです。

そこで、最近増えているのが、病院が独自に行うピアサポートの情報交換会・交流イベントなどです。
ピアサポーターとして、病院内のスペースに患者本人や家族らを迎え入れ、病気の進行や再発への不安、社会との向き合い方などを話し合う取り組みを行っています。

ピアサポートが多く取り入れられている分野のひとつに、がん患者のサポートがあります。
がんでは、手術後にストーマを装着しオストメイトになる患者や、発声器官を失う患者、乳房を失う患者など、身体の一部を欠損したり、再発の可能性があったりするため、生活に影響がでるケースが多くあります。
そのため、経験者であるピアサポーターによるサポートが、有効だといわれています。

「手術後に元の生活に戻れなかったらどうしよう」「偏見の目で見られたら悲しい」「若いのに病気になってしまった」といった悩みや、「主治医とどうコミュニケーションをとるべきか」「治療と生活をどう両立させるか」といった相談事などは、その病気をまったく経験したことのない人よりも、経験者のほうが的確に対応できる場合があります。
悩みを分かち合うことは、患者が前向きに治療を受ける原動力にもなりますし、患者の心の内側をケアする場所を提供することで、その病院の信頼度が高まり、地域への貢献にもつながるでしょう。

病院によって、ピアサポートを取り入れる形はさまざまですが、公的機関の研修を受けたピアサポーターに協力してもらい、フリートークや情報提供をしあえる場を作る、交流イベントを開く、1対1で対話ができる場所を設けるなどの方法をとる病院がほとんどです。
相談はデリケートな内容であることも多いため、一般的にピアサポーターとなるのは、自治体やNPOなどが主催するピアサポートのための研修を受けた、病気の体験者になります。
また、院内に患者会の機関誌を置くのも効果的です。

現在、さまざまな自治体や患者会、NPOでピアサポーターの研修や養成講座を実施しています。
ピアサポートを取り入れるのであれば、こうした組織と連携をして進めるのがよいでしょう。


メンタル面を支えるピアサポート

このようなピアサポートの取り組みは、病院全体の質を上げることにもつながります。
ピアサポートでヒアリングをした患者の不安や悩みを、現場にフィードバックさせることで、患者の気持ちや状態が理解しやすくなり、コミュニケーションしやすくなるからです。

また、ピアサポートを行うことによって、医療従事者だけでは手の届かなかった患者の心のケアも可能になりました。
告知後や治療中は誰しもが不安になりやすいものです。
がん患者の2割が適応障害やうつ病を経験するというデータもあり、患者のメンタルヘルスケアは、課題となっています。
ピアサポーターは、患者のメンタル面を支える助けにもなります。
メンタル面をケアすることで、治療に専念できるようにサポートできるのも、ピアサポートのよいところといえます。

一方、病院でピアサポートの取り組みを行う場合に気をつけたいのは、あくまで同じ病気の経験者同士による交流の場にすることであり、医療相談の場にはしないということです。

ピアサポートは、「不安な気持ちを聞いてほしい」「家族との接し方はどうすればいい?」「医師との連携がとれていない」などの悩みについて意見交換する場であり、「効果的な治療法は?」「おすすめのセカンドオピニオンを教えてほしい」など、具体的な医療に関わるアドバイスの場ではありません。
体験者といえども提示する情報にエビデンスはないためです。
ピアサポーターが提供するのは、一般的な情報交換にとどめ、参加した患者の意思決定に影響を与えることがないよう、病院側も気を配りましょう。

ピアサポートは、仲間同士が支えあうという発想から始まっています。
診察や治療では解決できない悩みも含めて、自院の患者を支える姿勢を示すことで、より患者へのサポートが厚い病院であるという印象を持ってもらえるはずです。
病院経営においても、よい効果があるのではないでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。