みなさん、こんにちは。税理士法人タクトの栗田です。
新型コロナウイルス感染症に対する位置づけが令和5年5月8日より感染症の位置づけが5類へ移行され、はや数日が経ちますが、なかなかマスクを外すことに抵抗がある私です(笑)
5月といえば、私たち税務に携わる業界の中では、1月末までに申告する償却資産税に係る固定資産税の通知や4月1日に所有する車両に係る自動車税・軽自動車税の通知等が各顧問先様や各個人に届く時期です。
今回はそんな償却資産税にも関係する減価償却資産に関する記事を書かせていただきます。なお今回の記事は資本金の額が1億円以下の中小企業等を前提としています。
まず初めに、法人税法における減価償却は任意償却ですが、大多数の企業では税法基準に則して、償却限度額まで減価償却費を計上している企業も多いと思われます。
法人税法における減価償却費は、次のような償却方法により損金の額に算入することができます。
・通常償却(耐用年数に応じた減価償却)による損金算入
・少額(取得価額10万円未満)の減価償却資産の取得価額の損金算入
・一括償却資産(取得価額20万円未満)の取得価額の損金算入
・中小企業者等の特例(いわゆる「少額減価償却資産(取得価額30万円未満)の取得価額の損金算入」)
・特別償却による損金算入「中小企業者等が新品の特定機械装置等(又は特定経営力向上設備等)を取得した場合の特別償却(租税特別措置法)」
このうち、少額の減価償却資産や一括償却資産、中小企業者等の特例は、法人による損金経理による意思表示が必要になります。逆を言えば意思表示を示さない場合には通常償却が適用されます。この考え方は実務において、企業の状況に応じた減価償却の方法が選択できることが利点です。
例えば、黒字企業で毎年の法人税を納税している企業は、上記において損金の額に算入する金額が多い償却方法を選択すれば良いものです。
しかし、前期以前の赤字による繰越欠損金がある企業や、期中において決算の着地見込みが赤字となってしまう企業においては、償却方法を選択することができるからといって損金の額に算入する金額が多い償却方法を選択すれば良いというものでもありません。赤字企業の場合には少額減価償却資産(取得価額30万円未満)を敢えて通常償却を選択することもあります。
減価償却資産の購入は、既存資産の破損等により、購入時期を選ぶことができずに、購入しなければならない場合も多いものです。この場合、特別償却による損金算入の場合は翌事業年度までに限り繰越すことができますが、その他は事業供用日の属する事業年度終了の時までに償却方法を決定しなければならないため、決算における業績の着地見込みを行うことができなければ、難しいことです。
また減価償却は任意償却のため、法人によっては減価償却費を計上しないという選択もあるかもしれません。その場合には、利害関係者から見れば減価償却資産が存在しているのに、減価償却費が計上されていないのは、適正な帳簿価額が表示されていなく、利害調整を行っている信頼性がない決算書とみられてしまう可能性があります。
私たち税理士法人タクトでは、月次巡回監査(企業へ毎月訪問し、監査を行うこと)を標準業務としているため、月次巡回監査の中での月次決算による数値から顧問先様の状況に応じた提案が可能になっており、減価償却費の計上方法もその1つです。
税理士法人タクトでは、月次巡回監査により企業の状況に則した会計処理を行い、株主や金融機関等の利害関係者が決算報告書を見ても納得いただける、正しい決算報告ができるようにお手伝いをさせていただきます。
減価償却は、冒頭についても触れましたが5月に配布された固定資産税明細書に記載されている償却資産税にも、償却方法の選択により税額が変わることもあります。減価償却資産の償却方法1つとっても、なかなか奥が深いものです。
何か不明点がございましたら、お気軽に 税理士法人タクトまで ご連絡ください。