最近ではテレワークの普及により、場所を選ばず働けるようになりました。
国内だけに留まらず、海外の人材を採用し、リモートワーカーとして働いてもらうことも現実的な選択肢のひとつです。
実際、人材不足といわれるIT業界を中心に、海外に在住するIT系を専門とする人材の活用に注目が集まっています。
そこで今回は、海外在住の人材を活用するメリットや注意点を解説します。
国境を越えた採用活動が可能な時代
生産性の向上や斬新なアイデアの創出を考えた時、AIやビッグデータを使いこなせる人材の確保は必要不可欠です。
しかし、少子高齢化などから、日本ではIT人材の需要に供給が追いついていない現状があります。
2019年の経済産業省による委託調査、『IT人材需給に関する調査』によると、2030年時点の IT人材の需給ギャップについては、41~79万人になると試算されています。
つまり、今後もIT人材は常に需要過多で、確保の難しさは変わらないのではないかと予想できます。
そうした事情も手伝い、日本の企業は国内の人材のみならず、21世紀を代表するIT大国のインドや、ハイテク企業の進出がめざましい中国など、海外在住のIT人材にも目を向け始めています。
プログラマーやシステムエンジニアなど、海外のIT人材をリモートワークで雇用しているIT企業もすでに出てきています。
IT関連の仕事には、日本語でのコミュニケーションが重要ではないものがたくさんあることからも、住んでいる場所や国籍を問わず、幅広く優秀な人材を募りやすいのです。
ネットや一部のメディアでしか得ることができないような、海外の最新情報や、最新の技術が入手できるのは、企業にとっても大きなアドバンテージとなるでしょう。
最近では、日本国内でもリモートワークを導入する企業が増えています。
“顔を合わせられない”ことが、それほど大きなデメリットだと思われなくなった今、海外人材の活用はますます広がっていくでしょう。
海外のIT人材を雇用する際の様々な注意点
では、海外のIT人材を雇用する場合、企業側はどのような点に注意が必要でしょうか。
来日した外国人を雇用する場合、就労ビザが必要になります。
しかし、海外に居住する人材をリモートワーカーとして雇用する場合には、ビザ自体が必要ありません。
一方で、報酬については日本の基準ではなく、該当するリモートワーカーが住んでいる国の標準的な金額を支払うことになるため、お互いが納得できる適正な金額を探ってゆく必要があります。
また、固定給なのか成果報酬なのか、報酬形態も条件としてきちんと織り込んでおくことが重要です。
雇用形態については、正社員や契約社員なのか、それとも委託契約にするのか、最も自社に合っている方法を考えておく必要があります。
海外在住のリモートワーカーに特化したマッチングサービスも出てきており、求人を行う際は利用を検討してみてもよいでしょう。
特に、日本語能力の高い海外のIT人材は引く手あまたで、採用できる人数も限られているので、求人を出す前に、「どのくらいの日本語能力がほしいか、足りない場合、自社で補うことはできるか」を検討しておくことも大切です。
また、海外在住者と一緒に働くうえで、時差の問題は避けて通れません。
ほかにも、社会保険、労災関係、ネット環境、就労規定や評価基準をどうするかなどは、専門機関に確認しておくとよいでしょう。
また、仕事を頼んだとしても、指示などのやりとりや打ち合わせは、ほぼオンラインで実施することになります。
情報漏えいなどのリスクがあることも忘れないでください。
法律面についても、トラブルが起きた際、日本と違う国の法律が適用されてしまうケースがあり、注意が必要です。
こうした条件について、関係各所に相談したうえで採用活動を進めていきましょう。
※本記事の記載内容は、2022年5月現在の法令・情報等に基づいています。