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固定資産税について(税理士法人タクト代表税理士・笹瀬綾子)

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税務・会計

2024/05/17

固定資産税について(税理士法人タクト代表税理士・笹瀬綾子)


 こんにちは。税理士の笹瀬綾子です。ゴールデンウイークが終わり日常生活が戻ってきましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

 さて、みなさまの元には今年も市町村から固定資産税の課税通知書が届いたことと思います。この固定資産税は、法人税や所得税のように自分で納めるべき金額を計算して納税する方法(「申告納税方式」といいます。)と違い、市町村が納めるべき金額を計算して納税者に通知する方法(「賦課課税方式」といいます。)を取っているため、「よくわからないけど納めている」方も多いのではないでしょうか。

 今回はこの固定資産税について、押さえておくべきポイントを説明いたします。

 まずは固定資産税の税額算定方法です。

1 固定資産を評価し、その価格を決定

2 その価格を基に課税標準額を算定

3 課税標準額に税率をかけて計算 (固定資産税=課税標準額×税率)

<ポイント1> 納税義務者は毎年1月1日現在の所有者!

 これはみなさまもよくご存じですね。固定資産税は、毎年1月1日(「賦課期日」といいます。)に土地、家屋、償却資産を所有している者が市町村に納める税金です。

 ここで注意したいのは、年の途中で土地の売買を行ったり、家屋を取り壊したりした場合です。次の場合に、Aさんに令和6年分の固定資産税が課税されるか、課税されないか、考えてみてください。

  • Aさんは自己所有の土地を売却するために令和5年12月に売買契約を締結し、令和6年2月に買主への所有権移転登記を済ませました。
  • Aさんは令和6年1月10日に自己所有の家屋を取り壊しました。

 答えは、どちらも課税されます。

 地方税法の規定により、毎年1月1日現在、登記簿に所有者として登記されている者に対して当該年度分の固定資産税を課税することになっているためです。

 ちなみに、登記するほどでもない物置や車庫等の簡易建物にも固定資産税は課税されていますが、これらを取り壊した場合には市町村にその旨を申請しないとそのまま課税され続けることになってしまいますのでご注意ください。

<ポイント2> 固定資産の評価替えは3年に一度!

 固定資産税の基となる土地と家屋の評価額は、毎年見直されているわけではありません。原則として、基準年度(3年ごと)に評価替えを行い、賦課期日(1月1日)現在の価格を固定資産税台帳に登録します。令和6年は基準年度にあたりますので、今年届いた課税通知書を見ていただくと前年の数字と変わっていると思います。

 本来であれば毎年評価替えを行い、その結果を基に課税を行うことが理想ですが、膨大な量の土地、家屋の評価を見直すことは実務上不可能であり、課税事務の簡素化や徴税コストを最小に抑える必要から、原則として3年間価格を据え置く制度がとられています。

 

<ポイント3> 新築住宅に対しては減額措置あり!

 認定長期優良住宅を新築した場合、申告により該当家屋にかかる固定資産税(1戸あたり120㎡まで)の2分の1が減額されます。

 【適用要件】

 ・専用住宅または併用住宅(居住部分の割合が全体の2分の1以上)であること

 ・床面積が一戸あたり50㎡以上280㎡以下であること

 【減額期間】

 新築後5年度分

 ※3階建以上の中高層耐火住宅は7年間

 

 新築住宅を取得しこの減額措置を受けられている方は、減額適用期間が終了すると本来の税額に戻ります。課税通知書が届いたら税額が急に高くなったと驚くことにならないよう注意してください。

<ポイント4> 年々老朽化していくのに家屋の評価額が下がらない!?

 課税通知書の固定資産税評価額を見て「古い建物なのに評価額が高い」と感じられている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 実は家屋の評価額は、単純に減価償却を考慮した価格ではなく、再建築価格を基準としています。つまり、評価の対象となった家屋と同一のものを評価替えの時点において、その場所に新築するとした場合に必要とされる建築費を基に計算されているのです。

 家屋の建築後の経過年数によって通常生ずる減価の考慮はされますが、建築費の上昇等の理由により評価額が前年度の評価額を超えることもあり、その場合には前年度の評価額に据え置かれる仕組みとなっているため、評価額が下がらないといった事態がおこるのです。

 いかがでしょうか。固定資産税は、各市町村で若干異なることもあるので、詳細はお住いの市町村のホームページをご確認いただければと思います。

 万一、課税通知書の価格に疑問がある場合は、お気軽に市町村の担当窓口におたずねください。