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令和4年度住宅ローン控除について(社員税理士・小松忠孝)

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コラム

2022/04/06

令和4年度住宅ローン控除について(社員税理士・小松忠孝)



 こんにちは。
 税理士法人タクトの小松です。

 ようやく、新型コロナウィルスの感染拡大に伴うまん延防止措置が全国的にも解除されました。ただし、感染者数が横ばいで推移している地域も多いと思います。
 基本的な感染対策(マスク着用、部屋の換気、手指消毒など)をしっかり行いながら、少しずつ日常生活を取り戻していければと思います。
 さて今回は、令和4年度の税制改正の中で、住宅取得に関連した内容について、説明をしていきたいと思います。

 

Ⅰ.住宅ローン控除(所得税・住民税)の主たる改正内容について

 ①居住年による借入限度額・控除率・控除期間について(令和41月以降居住分)

 イ 認定住宅等以外の住宅(新築・未使用に限る)

居住年

借入限度額

控除率

控除期間

令和4・5年

3,000万円

0.7%

13年

令和6・7年

2,000万円

0.7%

10年


 ロ 認定住宅等(新築・未使用に限る)

区分

居住年

借入限度額

控除率

控除期間

認定住宅

令和4・5年

5,000万円

0.7%

13年

令和6・7年

4,500万円

ZEH水準
省エネ住宅

令和4・5年

4,500万円

令和6・7年

3,500万円

省エネ基準
適合住宅

令和4・5年

4,000万円

令和6・7年

3,000万円

参照:財務省 令和4年度税制改正の大綱より

ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略。年間のエネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅をいいます。 

 

②適用対象者の所得要件について

 適用年の合計所得金額2,000万円以下(令和3年まで3,000万円以下)

 

③改正のポイント

 1.認定住宅等の取得に対する優遇  

 2.控除率の抑制(控除率>住宅ローン金利(いわゆる逆ざや現象)への措置)

 3.高額所得者への課税強化

 

④改正の落とし穴

 1.イの住宅で中古住宅の場合には、一律借入限度額2,000万円、控除期間が10年であること。

 2.ロの住宅で中古住宅の場合には、一律借入限度額3,000万円、控除期間が10年であること。 

 3.令和6年以後の新築住宅(令和6年6月末日までの登記簿上の建築日付のもの等一定のものを除く)のうち、一定の省エネ基準を満たさないものの新築、建売住宅の取得については、本特例の適用はないこと。

 



Ⅱ.直系尊属(父・母・祖父母等)から住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の改正内容について


①住宅用家屋の区分による非課税限度額(令和4年1月1日から令和5年12月31日まで)

区分

非課税限度額

耐震、省エネ、バリアフリー対応の住宅用家屋

1,000万円

上記以外の住宅用家屋

500万円

*令和411日以降の住宅用家屋の新築等に係る契約締結日のものに限る



②改正のポイント

 令和2年4月1日から令和31231日までの間に住宅用家屋の新築等係る契約を締結した場合の非課税限度額が、耐震・省エネ・バリアフリー(以下「耐震等」)対応の住宅用家屋(消費税率が10%のものに限る)で1,500万円、耐震等対応以外の住宅用家屋で1,000万円(消費税率が10%のものに限る)であったため、非課税限度額は縮小となっております。
 201910月に消費税の税率が10%となったことによる消費縮小を抑える措置が今回の改正により取り払われたと考えられます。また、民法の成年年齢の改正があったことに伴い、令和441日以降については、受贈者の年齢要件が18歳(従前20歳以上)に引き下げられます。



Ⅲ.最後に

 令和4年度の住宅ローン控除の改正については、居住年や住宅の種類により、借入限度額が大幅に変わってくるため、今後家屋の新築・購入を検討する方は、事前にどの区分に該当するのかを確認することをお勧めします。また、令和6年以降の一定の省エネ基準を満たさない新築・建売住宅の取得については、住宅ローン控除の対象外となる場合があるため、特に注意が必要です。

 直系尊属からの住宅取得資金の贈与税の非課税については、非課税限度額が減少しているものの、一生涯で一番高額な買い物であろう住宅の取得を考える上では、有効な資金調達の手段であると考えられます。また、相続時精算課税との併用や住宅ローンとの組み合わせで資金調達することも考えられます。

 住宅の取得に関しては、上記以外にも税制上様々な恩恵や注意点があります。住宅の取得の前に、身近な税理士に一度相談してみてはいかがでしょうか。