Javascriptが無効になっているため、正常に表示できない場合があります。

『親の土地に子が家を建てる』ことは贈与に当たるのか

News新着情報

   
   令和4年度住宅ローン控除については、こちらです。
   経営支援情報・資金繰り表作成については、こちらです。

   インボイス制度研修会(動画)については、こちらです。
   インボイス制度のQ&Aについては、こちらです。

相続

2022/03/09

『親の土地に子が家を建てる』ことは贈与に当たるのか

子が、親の土地に家を建てて住むというのは、よくあるケースです。
しかし、親とはいえど他人ということには違いありません。
では、『親の土地に家を建て、仮にも自宅の敷地とする』という行為は、どのような権利に基づくものでしょうか。
今回は、親が所有する土地に子どもが家を建てたときの貸借問題について説明します。

親の土地に家を建てたら『借りた状態』に

『親の土地に子どもが家を建てる』というケースはよくあることです。
しかし、親子といえども他人です。
なぜ、他人の土地に家を建てることが、一般的に許されているのでしょうか。

親の土地に子が家を建てるということは、いうなれば『他人の土地をその承諾を得て自分のために使用する』という行為に当たります。
つまり『借りる』ということです。

法律上、借りるという行為については、無償で借りる『使用貸借』と継続して対価(地代)を支払う『賃貸借』があります。
それぞれのケースについて説明します。

子が親の土地に家を建てた場合、土地使用の権限が使用貸借であれば、土地を使用する権利に価値はなく、その価額はゼロとして取り扱われます。
したがって、親の土地を自宅の敷地として使い続けていても、子が使用借権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課せられることはありません

一方、賃貸借の場合、地域によって賃貸物件の対価である権利金を支払うのが一般的であれば、その権利金を支払わないときは、その分が親から贈与されたとみなされて子に贈与税が課せられます

なお、子が親の土地の固定資産税を支払うだけならば、実質的には使用貸借とみなされ、固定資産税分に贈与税が課せられることはありません。


相続における使用貸借と賃貸借の違い

さて、親の土地に子が家を建てる場合、使用貸借、すなわち、対価を何も支払わない方が有利なようにみえます。
しかし、これは、あくまでも親が生存していて使用貸借が継続している場合であり、親が死亡して相続が開始すれば、それはまた別の話になります。

子が自宅敷地として使用していた親の土地は、親が死亡して相続が発生すると、相続財産となります。
つまり、自宅の敷地が相続税の対象となるのです。
この際、相続税の算出の際の土地の価額については、子に土地を貸していたからといって、使用借権が控除されるわけではありません。
自分が使っている土地、すなわち自用地・更地としての評価額になります。

一方、賃貸借の場合は、借地権が設定されています。
その借地権分(国税庁の指針では全国で3割から9割、もちろん都会地の方が高い)が控除された残額がその土地の評価額となるので、相続税はかなり低額になります。


相続人が複数いる場合は、複雑になるケースも

ただし、上記のように進むのは、相続人が子一人の場合です。
家を建てた子ども以外に相続人がいる場合は、権利関係が複雑になります。
なぜなら、その土地も遺産分割の対象になるからです。

預貯金など、その土地の価額に見合う程度の遺産がほかにもあれば、家を建てた子がその土地を取得し、ほかの遺産はほかの相続人が取得したり、足りない分は代償金として家を建てた子が負担したりして、遺産分割をすることができます。
しかし、相続財産がその土地だけだったり、ほかの遺産にその土地に見合うほどのものがなかった場合は問題です。
家を建てた子が代償金を出捐できるほどの資力があればともかく、その資力がなくて遺産分割協議が調わなければ、最悪、子の自宅の敷地になっていてもその土地を競売に掛けて売却するような事態になりかねません。
 
これを防止する方策として、親の生前中に、家を建てた子にその土地を相続させるとの遺言書を親に作成してもらうことが考えられます。
それでも、土地以外に目ぼしい遺産がなければ、ほかの相続人への遺留分(相続分の半分)侵害額の支払を免れません。
また、親から、その土地を生前贈与してもらうとか、譲渡を受けておくといった手段もあります。
もちろん、贈与税や不動産取得税、譲渡所得税は課税されますが、相続争いの火種になることは避けられるでしょう。

なお、代償金や遺留分侵害額の支払に備えて、親の生命保険金をその子が受け取れるようにしておくことも可能です。
いずれにせよ、早めに対策しておくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。