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有給休暇が取りづらい介護業界の課題とヒント

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2021/09/24

有給休暇が取りづらい介護業界の課題とヒント

他業界と比べると、有給休暇が取りにくい介護業界。
これまでも、業界団体や労働組合などが、働き方の改善を呼びかけてきましたが、いまだに、「誰かが休んだら仕事が回らなくなる」といった声も聞かれます。
今回は、官公庁の資料をもとに、介護業界の有給休暇取得状況について説明するとともに、業務の効率化や、有給休暇の計画的付与制度の活用について紹介します。

まだ少ない介護業界の有給休暇取得日数

『多様な働き方』を掲げた働き方改革関連法が2019年4月に施行され、約2年が経過しました。
なかでも『有給休暇取得義務化』は働き方改革の大きなポイントとなる施策の一つであり、企業は有給休暇が年間10日以上付与されている労働者に対して、このうちの5日間の有給休暇を取得させることが義務化されました。

厚生労働省が公表している『令和2年就労条件総合調査』によると2019年の全産業の年次有給休暇の取得状況は、労働者1人平均の付与日数が18.0日なのに対し、平均取得日数は10.1日で、過去最多となりました。
また、平均取得率も、2018年の52.4%から56.3%に上昇し、過去最高となっています。
有給休暇の取得義務化が平均取得日数および平均取得率の増加に影響していると考えられます。

一方、介護業界の有給休暇取得状況を見てみると、公益財団法人介護労働安定センターが公表している『介護労働実態調査(2019年)』では介護労働者の有給休暇の平均取得日数が7.0日、労働者の平均取得率は63.8%という結果が出ており、有給休暇取得が義務化される前と比較すると介護業界内での有給休暇の取得率は改善されていますが、取得日数に関しては、他業界に後れをとっている状態であるといえます。

また、介護サービスに従事する職員の不足感は、全体の65.3%にのぼる事業所が感じており、不足原因は『採用が困難である』が90.0%と、最多でした。
以前より、深刻な人材不足が有給休暇の取りづらさに影響していることが指摘されてきましたが、現在もその状況は続いていることがうかがえます。


休暇の取得状況を改善するための具体策は?

続いて、有給休暇の取得状況を改善させるための具体的な対策を検討してみましょう。

まず必要なのが、介護チーム単位での『情報共有』と『意識改革』です。
人材が不足している事業所ほど、従業員への依存度が高くなり、従業員が周囲に遠慮して有給休暇の取得を言い出せない状況に陥りやすくなります。
そのままではさらなる悪循環に陥ってしまうため、経営者を中心に、無駄な手順を削減するなどの業務の効率化を行い、なるべく従業員の負担を減らし、時間を作ることを心がけるべきでしょう
時間の余裕を作るために、ITツールの活用を進めている事業所もあります。
たとえば、介護記録や報告書などの書面を電子化することにより、情報共有がスムーズになり業務効率化に繋がります。

あわせて、勤怠システムで出退勤や残業、その事由などをきちんと管理すれば、シフトの偏りや無駄をなくすことができ、有給休暇を取得しやすい環境を作ることができます。

こうした業務効率化の設備投資にかかる費用は、『働き方改革推進支援助成金』で一部を補填できる可能性もあります。
この助成金は、生産性を向上させ、労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するための制度なので、活用するメリットは充分にあるといえます。

その他、有給休暇の計画的付与の制度導入も有効な対策となります。
計画的付与とは、労使協定を締結することによって、従業員が保持する有給休暇のうち5日を超える部分について、あらかじめ取得日を指定して取得させることができる制度です。

たとえば、夏期休暇、年末年始休暇、GWの前後にそれぞれ2~3日程度の有給休暇を計画的に割り振っておくと、帰省や家族旅行などに充てられる、長期間の休暇が取得しやすくなります。

介護業界では、有給休暇がとれないことに対する不満が離職の原因になるケースも多く、有給休暇の取得率を向上させることは、安定した労働力確保に繋がります。
今回紹介した対策を参考に、業務効率化を図り、有給休暇が取得しやすい職場環境の構築に取り組んでみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。