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法人の期末棚卸について(税理士法人タクト職員 杉山一生)

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コラム

2025/06/11

法人の期末棚卸について(税理士法人タクト職員 杉山一生)

皆様、こんにちは。今回は法人決算の期末棚卸について解説していきます。今現在行っている棚卸が適切なものかを再確認していただけたら幸いです。

1.期末棚卸の目的

期末棚卸の目的は大きく2つあります。

  • 適正な税務申告のため

    当期の売上原価は期首棚卸資産+当期仕入高―期末棚卸資産で算出されます。そのため棚卸をして初めてその期の損益が確定して正確な決算書の作成が可能になります。

    一般に期末の棚卸資産を過小計上してしまうと当期の利益が減り税金の額が減るため税務調査においてもチェックが入りやすい項目となります。実地棚卸の際に残した原始記録(手書きのメモ等)によりどのように棚卸資産を計測したのか証拠資料を残しておくことも重要です。

  • 在庫の管理のため

    正確な在庫を日々管理していくのは困難です。そのため期末において帳簿上の残高と実際の残高を合わせる際にズレが生じてしまうことがよくあります。そのずれがどのような理由によって生じたのか調べることは翌期の経営にいかしていくためにも必要です。

2.期末棚卸の際に注意する点 - チェックリスト

期末棚卸の際の具体的な注意点をいくつかまとめました。ご自身で行っている棚卸が適切かどうかご確認ください。

  • 社外の倉庫などの在庫は正確に把握しているか

    社外に倉庫を借りている事業者は見落としやすい点です。倉庫が遠方にあっても原則として実地棚卸が必要なため注意が必要です。外部の業者に管理を委託している場合などはあらかじめ連絡しておくとスムーズに棚卸をすることができるでしょう。

  • 未着品はないか

    商品等を発注してまだ届いていないものを確認しましょう。未着品とは、現実には棚卸実施の日には手元に存在せず輸送途中のものをいいますが、会計理論上は輸送途中であっても所有権が存在する限り、棚卸資産とされ、税法上も同様に解されます。

  • 在庫の状態は適切か

    陳腐化や破損、型崩れのものがないか確認しましょう。商品として売ることが難しい場合は廃棄処分をすることも考えられます。その場合は廃棄処分の事実の証拠として処分リストや写真、処分費用の領収書等を残しておきましょう。

  • 滞留在庫はないか

    1年以上在庫として残ってしまっているものはありませんか。経営上は滞留在庫の価格を調整して売りはらい運転資金を獲得した方が良い場合もあります。また今後の発注や経営戦略に役立てるうえでも滞留在庫を把握することは大切です。

  • 仕掛品等の評価は適切か

    製造業や建設業の場合は完成前の仕掛品・半製品も棚卸資産として計上する必要があります。材料費だけではなく、仕掛品・半製品に投入された外注費や労務費、その他の経費も期末の棚卸資産として計上する必要があるため注意しなければなりません。日ごろから台帳やシステムを使って管理していくことが重要です。

3.まとめ

一言に棚卸といっても業種や販売形態によって棚卸の方法は様々です。

国税庁の通達(法人税基本通達 5-4-1 棚卸しの手続)では

『棚卸資産については各事業年度終了の時において実地棚卸しをしなければならないのであるが、法人が、その業種、業態及び棚卸資産の性質等に応じ、その実地棚卸しに代えて部分計画棚卸しその他合理的な方法により当該事業年度終了の時における棚卸資産の在高等を算定することとしている場合には、継続適用を条件としてこれを認める。』

とされており、具体的にどのように棚卸をするのかは各法人に委ねられています。

そのため具体的にどのように棚卸をすればよいか分からないという経営者の方もいらっしゃることでしょう。税理士法人タクトでは法人の適切な棚卸にもとづく決算書の作成や税務申告のサポートを職員一同全力で行っています。ぜひ税理士法人タクトまでご相談ください。