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大災害に備える! 病院における災害対策マニュアルの重要性

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医業

2022/07/29

大災害に備える! 病院における災害対策マニュアルの重要性

地震や台風などの自然災害が発生しやすいといわれる日本においては、各地域の病院が災害医療の拠点となるため、日頃から災害時の具体的な対応策を構築しておく必要があります。
その準備として、各病院が災害対策マニュアルを作成し、スタッフに周知するとともに、マニュアルに基づいた訓練を行うことが大切です。
今回は、災害対策マニュアルの役割や、作成のポイントなどについて説明します。

作成する際はわかりやすさを心がける

政府機関の地震調査研究推進本部地震調査委員会は、南海トラフ地震が今後30年以内に70~80%の確率で発生すると公表しています(2020年1月24日時点)。

南海トラフ地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があり、その近隣地域も震度6強~6弱の強い揺れに見舞われると予想されます。
また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に、10mを超える大津波が来るとされており、地震と津波による死者は、32万人を超えるといわれています。

このような大災害の発生時は、道路状況の悪化や通信の断絶が起こり、外部からの支援が受けられない可能性があります。
各病院は自ら医療機能の確保や維持に努めなければいけません。
そこで、病院の対応を明確にしておくためには、災害対策マニュアルが必要になります。

災害対策マニュアルを作成する際のポイントは、図やフローチャートを利用し、全体の動きを分かりやすく説明することです。
緊急時に使用する災害対策マニュアルは、病院内の誰がいつ、どのような状況で何をするべきかを、一目でわかるようにしておかなければいけません。
役割別のフローチャートや、災害レベル別の対応一覧、指示系統を明確にした組織図などを用いて、素早い行動へと繋げましょう。

また、ライフラインの断絶やトリアージ(傷病者の振り分け)の実施、限られた医療資源など、平時とは状況が異なることを念頭に置き、実際の災害発生時をシミュレーションしながら作成することも重要です。


マニュアル作成後、防災訓練を実施

病院ごとに規模や設備、体制が異なるため、災害発生時にすぐに避難を行うべきか、それとも医療行為を継続するべきかは、それぞれの病院で判断が分かれます。
各都道府県や市区町村が作成している防災計画を確認し、自分たちの病院の地域での役割を把握したうえで、地域の関係機関にも相談しながら作成しましょう。

さらに、作成した災害対策マニュアルは、病院内で働く全てのスタッフに周知し、災害時に自分がどのような役割を担い、行動するのかを理解してもらう必要があります
スタッフを対象とした災害対策マニュアルの説明会を開くのも効果的です。

同時に、災害対策マニュアルに従って、医師や看護師、事務スタッフ全てを含めた防災訓練を定期的に行いましょう
これは、指揮命令体制を明確にしたうえで、病院全体とセクションごとに年1~2回程度行うのが望ましいとされています。
訓練の実施は地域住民にも周知し、必要な場合は協力を仰ぎましょう。
場合によっては、消防署や自衛隊なども交えた総合的な防災訓練への参加も検討しましょう。

病院は、規模や機能、設備などによって、災害時の受け入れ体制も大きく変わります。
そして災害は、地震だけではなく津波や土砂災害、雪崩、森林火災など多岐にわたり、地域ごとに発生しやすい災害の特性も異なります。
病院の所在エリアによっては、航空機事故や列車事故、工場の爆発なども想定する必要があります。

現在、大学病院を中心に多くの病院が災害対策マニュアルをWebサイトなどで公開しています。
そういった既存のマニュアルを参考にしながら、自分たちの病院の地域特性や役割を把握し、実情に合わせたマニュアルを作成していきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年5月現在の法令・情報等に基づいています。